大迫傑選手から学ぶ、フォアフット走法

ここ近年マラソンブームが絶えず、

カラダラボの患者様のなかでもマラソンをしている方が多い。

タイムを縮める、楽しく走る、距離を伸ばす等、皆さんいろんな目的を持っている。

道具を使うスポーツとは違い、マラソンは身一つで勝負をするスポーツである。

目的を達成するために、身体を上手く連動させることが大切になってくる。


最近日本新記録を達成した大迫傑選手は、

上手に身体を使い、走っているのではないだろうか。


アフリカ人ランナーの多くが使うフォアフット走法とは


大迫選手の走りにより、今注目をされているフォアフット走法。

これはかかと着地ではなく、つま先着地をする(正確には小指球から接地する)方法である。


日本人には非常にレベルが高い走り方だと言われている。

対してアフリカ人ランナーはこの走法をしている選択していることが多い。

つま先着地を容易くおこなうアフリカ人と、日本人ランナーとの違いは一体なんなのだろうか。


アフリカ地域は地面が整備されていない場所での練習が多い。

そのため、不安定な状態で走らなければならない。

身体を固定するような走り方をしてしまうと怪我が耐えないのである。

姿勢は常に高い状態を保っている。

高い姿勢は、身体を不安定な状態にし続けておくことができる。

不安定な状態にあることで、体幹が捻じりやすくなってくる。

背骨→肩甲骨→体幹の捻り→股関節の順番で動かすことで、

全身にエネルギーをうまく伝えている。

体つきは腱が長く、シュッとしていて無駄がなく、バランスが良い。

自然とつま先で着地をし、股関節が内旋し、

それによって小指球で回転しながら足を前に出すランナーが多い。


一方、日本人は綺麗に整備された練習場があり、平らな道での練習が多い。

身体を安定させるような走り方になってしまうのではないだろうか。

日本人ランナーは姿勢が低くなり、なおかつ安定感がある状態を作る。

一見良いように思えるが、運動をするには不向きである。

体つきはぼてっとしていて、腱が埋もれてしまう。

そのため、かかとで着地し、母指球で地面を蹴る。

つま先着地でも、母子球で地面を蹴るランナーが多く見られる。


運動は姿勢が高く、不安定な状態の方がエネルギーを多く生産し、放出できる。

その運動をスムーズに繰り返し行うことができれば、スピードが確実に出るのである。

姿勢を高くし、小指球で回転をさせて不安定な状態を作る方が、

運動はスムーズに行われ、筋肉の連鎖運動が円滑に行われるのである。


生活文化とフォアフット走法の関係性


我々人間は歴史上で農耕民族に変化した。

農作業をすることに適したDNAが流れているわけではない。

もともとは狩猟採集民族であり、狩りをし、食べ物を採取していた。

農業革命により、畑を耕し、育て、収穫をするという生活に変化した。

しかし、人間の身体はそれに順応すべく進化はしていなかったのである。

日本人は農業と共に歩んできた民族である。

その一方、アフリカ人は狩猟採取民族として生活してきた。

今でも民族や部族によっては、狩りをして過ごしている方もいるであろう。

この文化の違いがファフット走法への順応力の違いであろう。


▷日本人は農耕民族の生活期間が長い

・同じ態勢でいることが多く、姿勢を低くしてしていた

・農業は整地された土地が必要であり、歩行動作は安定した

・農業は屈曲と伸展の動作が多く、

動きが一定である


▷アフリカ人は狩猟採集民族の生活期間が長い

・遠くの獲物を見る必要があり、姿勢は高い状態で過ごしていた

・整備がされていない土地を駆け回る

・狩は農業の一定の動きと違い、身体をしなやかに使う必要がある


大迫選手の身体の使い方


フォアフット走法をするためにはどのようして身体を使えばいいのだろうか。

日本人ランナーの中でも、

数少ないフォアフット走法を選択している大迫選手の走りを参考に考える。

大迫選手は以下のような順番で身体が動いている。


①右に背骨が回転する

②右の肩甲骨が後ろに回転する

③体幹が捻じれる

④左手が前に出る

⑤体幹が捻じり返る

⑥前に出た左手の対角にある右足が前にでる

⑦つま先で着地し、小指球で回転しながら地面を蹴る

①〜⑦を繰り返しおこなっている。


大迫選手の場合は、上半身を自由に使い、足は振り子のように使っていることがよくわかる。

最後は小指球側で回転しながら地面を蹴っているため、身体が連動して動いている。

その結果、姿勢も高い位置にある。


つま先で着地し、小指球で回転をするためには、足から動き出すのではなく、

背骨から動き出していく必要があるということだ。

足を前に出すことばかり考えている人が多い。

足を出すためにはどのように上半身、特に背中を使えばいいかを考える方が大切である。

①〜⑦の動きをスムーズに連動させることで、足を早く前にだすことが出来るのである。


大迫選手の身体の使い方の鍵は四足歩行にあり


大迫選手と同じような身体の使い方をしている人がいる。

それはハイハイしている赤ん坊である。

唯一人間で四足歩行をする生き物である。

実際、どんな動きをしているのであろうか。


①右に背骨を回転させる

②右の肩甲骨が後ろに回転する

③体幹が捻じれる

④左手が前に出る

⑤体幹が捻じり返る

⑥前に出た左手の対角にある右足が前にでる

この順番で赤ん坊はハイハイをしている。


しかし、成長し大人になり二足歩行を始めると、

赤ん坊の時の四足歩行の身体の使い方を忘れていってしまう。

身体の動かし方の順番が逆になり、足から動かす人が増えている。


大迫選手以外のランナーをみると、足から動き出し、

体幹が捻じれず、手・体幹・足がばらばらに動いている。

これでは連動感がでてこない。

連動感がないとエネルギーは身体全体に伝わらず、

身体にかかる負担が増すため、疲労が溜まり、故障が多くなる。

連動感があれば、エネルギーは無駄なくカラダ全身へ伝わる。

身体にかかる負担が少なく、疲労が溜まりにくいため、スピードが増していく。


並々ならぬ努力を含め、

大迫選手が日本新記録を出した秘訣は

この四足歩行の身体の使い方にあるのではないだろうか。


二足歩行で四足歩行の身体の使い方ができるようになれば、

身体が疲れにくく、怪我をしずらくなる。

そのうえ、スピードアップも可能になる。

目的が達成できる日が近づき、

マラソンをもっと楽しむことができるのではないだろうか。


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#文化の違い

”スゴイ先生” 石川貴之 オフィシャルサイト

トップレベルのコンディショニングエキスパートが集うサロン<カラダラボ>の代表。 自身のコンディショニング技術の集大成とも言える、「ゼロ・グラヴィティ理論」で 世の中の間違ったトレーニング方法やカラダづくりを、正そうとしている。

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