豪速球プロジェクト 〜 キレのあるボールを投げるために 〜

先日、硬式野球のボールを使ってキャッチボールをした。

野球は素人であったが、上半身と下半身をうまく連動させることで、スピンがかかり、

思った以上にボールのキレが増した。

この日を機に球速をあげ、さらにキレのあるボールを投げたいという思いが湧いてきた。

目標は球速を10キロあげることだ。


これを成し遂げるために以下の条件を決めた。


・期間は3ヶ月

・週1回のキャッチボールと球速測定

・ウエイトトレーニングはしない

・神経系トレーニングのみ

・野球本は読まない

・走り込みはしない


これをクリアした時は、最低限のウエイトトレーニングを取り入れる。

球速を維持・向上するためには遅筋群も必要である。

運動の第一要素である屈曲と伸展動作で負荷をかけることで、

さらに5キロ向上させたい。

合計15キロの球速UPが目標である。


この条件をもとに、どのようにしたら、球速があがるのかを考えてみた。


「初速」と「終速」の差が小さければ良いストレートなのか


初速:ピッチャーの手からボールがリリースされたポイントで測られた速度

終速:打者の手元で測られた速度


野球観戦をしていると、「初速と終速の差が小さいストレートを投げる良い選手だ。」

という言葉を聞いたことがある。

これは「ノビやキレのあるストレート」と同じ意味を表しているのだろうか。

それとも別の意味を表しているのだろうか。

違う意味の場合、どちらが良いストレートといえるのか。


球種別の初速と終速の差

・ストレートやツーシームの直球系は初速と終速の差が大きい

・カーブは初速と終速の差が小さい


球種別でみた時、ストレートは他の球種より初速と終速の差が大きいことが分かった。

その理由として、直球系は減速する割合が大きいということがあげられる。


では、ストレートの速い選手では初速と終速の差はどうなのでしょうか。

上原浩治投手はストレートの初速と終速の差が小さいタイプだと言われています。

そんな上原投手の球種別の初速と終速の差を調べてみました。


上原浩治投手の初速と終速の差

・ストレート時の初速と終速の差が大きい

・変化球時の初速と終速の差が小さい


ストレートの初速と終速の差が小さいと言われていましたが、

カーブやカットボール、スライダーなどの変化球の方が差は小さく、

減速する割合も小さいようだ。

また、上原投手のストレートの初速と終速の差は他の選手よりも大きかった。


ストレートの速い選手でさえ、ストレートの初速と終速の差は大きいということが分かりました。

では、何がストレートの速さやノビに影響しているのだろうか。


上原投手は他の選手に比べて、変化量(曲がり幅)が大きい。

特に、ホップ方向に変化している。

結果、変化量が大きくなると、初速と終速の差が大きくなるということが分かった。

上原投手の投球は初速と終速の差が小さいと感じていたが、そうではなく、

変化量が大きいノビのあるストレートといえるのではないだろうか。


今までの認識として、回転数が高ければ初速と終速の差が小さいと考えてきた。

回転数が高いのは、ホップへの変化量(曲がり幅)が大きいことなのかもしれない。

『回転数が高い = ホップへの変化量(曲がり幅)が大きい』

これが事実であれば、追い求めるものは

初速と終速を小さくすることではない。

回転数を高くし、ホップへの変化量を大きくすることだ。

これこそが私の追い求めたい投球だと確信した。


ストレートはホップ方向かつシュート方向に曲がる変化球


なぜ、回転数の高いストレートはホップ方向かつシュート方向に変化するのだろうか。

ストレートをリリースする際に、人差し指と中指がしなりを効かせながら、

回内動作が行われる。

指の長さを考えると、最後までボールを触れている指は中指であろう。

適切に身体が使われていれば、ややシュート回転していくのはごく自然である。


布にかかっている指をしならせながら回内動作を入れることで、

回転数が上がりホップ方向への変化が大きくなるであろう。


正しい身体の使い方を投球動作で体現


正しい身体の使い方でしなやかな動きが必要がある。

手、腕、肩だけを使って投げていては、球速はあがりません。

それどころか怪我をする確率があがってしまいます。

上半身・下半身を連動させて投げることが大切です。


投球動作の運動順

①肩甲帯が屈曲

②肘伸展

③肩甲骨内旋

④スナップ動作(手首背屈・回内・尺屈)

⑤肘屈曲


この運動順で動くことで、回転数の多いボールが投げられる。

回転動作を上げるためには、円滑なスナップ動作が求められる。


第一条件として橈骨と尺骨の骨間膜が詰まってないことである。

前腕部の回外・回内動作の可動域が確保されていないと、手首の動きが硬くなる。

前腕部の筋肉の肥大は要注意である。


第二条件として三角筋と上腕二頭筋が筋肉肥大していないことである。

肩甲骨の回旋動作と手首のスナップ動作を連動させる必要がある。

その上で、この二つの筋肉肥大は連動感を損なう。


第一条件と第二条件がクリアされないことで、「ボールを握る」作用が強くなる。

強く握るとボールの重みを感じれなく、

重量を急速に変換できない手投げの状態になるのだ。

また、しなりが効かないため、回内動作と連動せず回転数が上がらない。

そのため変化量は少なくホップ方向への変化量が少なくなる。

筋肉量があれば初速は出る。

しかし、バッターの手元に届く頃には球速が落ち、

回転数が低く、ホップ方向への変化量が少ない打ちごろのボールになってしまう。


握る動作はスナップ動作を消してしまう。

その握る動作を作用させる筋肉がある。

過度にその筋肉が発達するとボールを握りすぎ、内側側副靱帯に負荷がかかる。

怪我をし、再建手術へのリスクが高まるのである。


球速アップのためのトレーニング3選


神経系トレーニングとして、以下の3種を紹介します。

1から3まで、順番に行ってみてください。

徐々に動作が複雑になり、難易度が上がります。


Twitterのリンクより閲覧できます!


球速アップトレーニング1

https://twitter.com/labo_karada/status/1097810382343688192


球速アップトレーニング2

https://twitter.com/labo_karada/status/1097810700213223425 


球速アップトレーニング3

https://twitter.com/labo_karada/status/1097811455313817604


これらをベースに他の神経系トレーニングも取り入れていく予定である。

そして週1回、野球を行っていたスタッフとキャッチボールをし、球速を測る。

球速などを測るためにミズノで発売されているMA-Qを使いたいと考えている。

専用センサーを内蔵したボールを投げることで、

投げたボールの回転数や回転軸、速度などを記録、計測し、

分析することができる商品である。

これを使って分析し、トレーニングを重ねることで、

理想の「変化量の多いノビのあるストレート」を獲得したいと考えている。


#野球 #球速アップ #ストレート #ホップ #シュート #投球動作 #神経系トレーニング#身体の使い方

”スゴイ先生” 石川貴之 オフィシャルサイト

トップレベルのコンディショニングエキスパートが集うサロン<カラダラボ>の代表。 自身のコンディショニング技術の集大成とも言える、「ゼロ・グラヴィティ理論」で 世の中の間違ったトレーニング方法やカラダづくりを、正そうとしている。

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