ルルベで筋連鎖を身につける神経系トレーニング
ルルベでの下半身の筋連鎖
ルルべは足首の背屈から底屈へ向かう。
通常の筋連鎖は、足首の背屈(前脛骨筋)→底屈へ行ったときに(ハムストリング)へ
刺激が入る。
しかし、多く見られるのは背屈が無い状態でのルルべであり、
足首の底屈(下腿三頭筋)→(ハムストリング)の筋連鎖になっている。
この筋連鎖では、ハムストリングへの連鎖がしっかりと行われない。
ポイント姿勢での足首の「グニャッ」という感覚は
ここでの筋連鎖が行われていないことが一つの要因ではないかと考えられる。
ルルベとジャンプ動作
前回はかかとを下げずに、前脛骨筋とハムストリングの筋連鎖を使って、
ルルべの姿勢のベースを作るということを説明した。
今回はジャンプ動作で考えてみよう。
ジャンプの着地で姿勢が低くなってしまうことが気になった。
着地から次の動作に移行するときに、
姿勢が低くなってしまうと、下腿三頭筋とヒラメ筋を使い、身体全体を押し出す動作になる。
膝が曲がり、かかとが下がる「グニャ」っという感じになってしまう。
これはルルべにも共通して言えることである。
単純に高く飛べなくなるだけでなく、
新体操は2分半という限られた時間の中で、技を増やし難易度を上げる必要がある。
そのため、できる限り時間を短縮する必要がある。
「グニャ」っという動作には、速さ、腱反射
(前脛骨筋、アキレス腱、ハムストリングの連動を使ってのジャンプ)を感じない。
次の動きに移るときに「グニャ」っと足が曲がる要素があると遅くなるためである。
本来「グニャ」っとなる動きは、いらないのだ。
運動学では「運動は一貫した動きを繰り返し行えること」と言われている。
つまり継続してできる運動のことをいう。
「グニャ」っとなることは、一度運動が途切れてしまうため、運動とはいえない。
動作に美しさが見られない、"動的な美"が感じられないのだ。
筋肉と脳を繋げる神経系トレーニング
新体操において姿勢を高くした方が良いことを知っているが、脳が動作を知らないのだ。
どうしたら姿勢を高く保つ動作を覚えられるのか?
トレーニングを行って、脳に正しい動きを覚え込ませないといけない。
ただ単に筋トレやジャンプ動作のトレーニングを行えばいいわけではない。
ここで必要なのはトレーニングで腱反射の動作を脳みそに覚え込ませることだ。
脳は個々の筋肉の動作は知っているが、筋肉がどのように動くかは知らない。
脳が正しい筋肉の動作を知らないと人間は正しい動きができなくなってしまうのである。
そのため、脳みその教育が必要になる。
ジャンプ時に多くみられるのは足首が「グニャ」っとなる動作。
これは下腿三頭筋からハムストリングの連動になっている。
しかし、正しい動きを脳が覚えていれば、
前脛骨筋からアキレス腱→ハムストリングの連動になっていく。
これを獲得するためには、
正しい動作を繰り返し、意識してトレーニングを何度も行い、
脳と神経と筋肉を繋いであげる必要がある。
これが身につくと、身体がいつもと違う動作をしたときに脳が違いを感じ、
修正をかけることができるのだ。
新体操部でのトレーニング指導
トレーニング後はジャンプと着地からの重心移動が円滑になり、
同じ選手とは思えないほど、綺麗に見えた。
ハムストリングと前脛骨筋、アキレス腱などの速筋群を使うことで、
心拍数が上がり、過呼吸になる選手も現れた。
今までに速筋系のトレーニング(腱トレ)をしたことがない選手にとっては、
かなりきついトレーニングである。
しかし、トレーニング後に基本動作をチェックすると、ジャンプ力が向上していた。
通常の可動域より動きすぎて、筋肉が足りず、痛みが出た選手もいた。
負荷がかかったことで可動域が広がり、
筋量も足りないため、空中で身体を支えられないのだ。
これに対応できる身体作りがこれから必要になってくる。
また、得意な方と苦手な方の差を埋めるトレーニングも必要であり、今後の課題だ。
新体操は古い歴史の中で、培われたものがある。
トレーニングはあまり進化していると思えない。
先見の目を持って神経系トレーニングを取り入れていただける方がおり、本当に嬉しい。
私も多くを研究しなければ、良質なものは提供できないと考えている。
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