アルトゥールは認知能力の高いインディペンデントな選手
バルセロナに今シーズン加入したブラジル人MFアルトゥール選手が大活躍。
彼のプレーは、シャビかと見間違えるほどプレーも背格好もよく似ている。
シャビといえば、アル・サッドに所属する元スペイン代表MFで、
ピッチ上にいる選手の位置関係を捉え、
ゴールへの道筋を見極めた上で正確なパスを繰り出す最高の司令塔である。
メッシやシャビ自身も、「似ている」と言及しているほどだ。
アルトゥールは『認知能力の高いインディペンデントな選手』と言える。
インディペンデントな選手とは
インディペンデントな選手とは以下のように定義できる。
・グラウンド上で起こっているすべてを視野に入れられる
・スペースをうまくコントロールできる
・創造性にあふれている
・認知能力が優れている
この認知能力がその選手がインディペンデントな選手なのか、そうではないのかに
非常に大きく影響してくるのである。
認知能力とは視覚的なものと、聴覚的なものがある。
視覚的とは、目で見てグラウンド上の情報を確認することである。
しかし、目で確認できる範囲には限界がある。
ほんの数秒の時間の経過とともに、選手の配置や距離、
ボールの位置が変わってしまうからだ。
そこで必要なのが、聴覚的認知能力である。
聴覚的とは、見えていない方向でもチームメイトの存在や相手ディフェンスの存在を
感知することである。
この聴覚が優れていると、相手が背後から激しいプレッシャーをかけてきても、
ターンなどを使って方向転換し、フリーのチームメイトにパスをすることができる。
また、プレーにもスピードがでる。
これらを網羅しているのが、アルトゥールなのだ。
①首を振り、状況を観察・把握・記憶している
②視覚的、聴覚的認知が優れている
③相手が近くても冷静に、素早くプレーでき最適な判断を下す
相手や仲間の様子を認知し、冷静にプレーできているため、
アルトゥールはボールを失うことがなく、パスミスもない。
また、時間とスペースもコントールできるのである。
彼のようなインディペンデントな選手は、特に聴覚の認知能力が優れているのである。
多くの選手は聴覚の認知能力が弱体化している。
それは我々のような一般人にも同じようなことが起きている。
そこには人類の時代背景が大きく関わっているのだ。
人類の革命と認知能力の関係性
私たち人類には3つの重要な革命がある。
①認知革命
②農業革命
③科学革命
我々人間が四足歩行から二足歩行へと進化したのは250万年前。
そこから、知恵を身につけ、道具を使い、狩猟採集民族として生きてきたのが、
①の認知革命である。
植物を探し、動物を狩って生活してきたのだ。
生活の居住地を移動させたり、常に動き回るような生活を送っていた。
②の農業革命期に入ると、植物を探したり、動物を狩るのをやめた。
自分たちで食物を育て始めたのだ。
1日中、農作業に打ち込むようになったのである。
生活をある地で定住させ、動くことが極端に減ったのである。
そして、現在の私たちは③の科学革命期を生きている。
ほとんどの人がパソコンや携帯電話を持っている。
携帯電話の使用方法が以前とは異なってきた。
遠くにいる人と連絡をとるために、電話のみが使えていた時代は終わった。
インターネットで何かを検索したり、
連絡をするときは電話ではなくチャットを使うようになってきている。
視覚を使った情報のインプットやアウトプットが増えてきている。
その一方、音を聞いて何かを考えたり、感じることが稀薄になっている。
電話をする機会が減ったり、直接話をする機会が減っているのは、
生活をしている上で皆さんが実感していることではないだろうか。
つまり、聴覚的思考をする機会が少なくなっているのだ。
聴覚の認知能力とは、プロアスリートだけが必要なものではない。
私たちも必要なのだ。
聴覚的思考が弱体化すると、言葉で伝える能力も弱体化する。
現代の子供たちが自分の思っていることをうまく言葉で伝えられないのはこのためである。
認知能力を高めるためにも、耳で聴き、何かを感じたり、
考えたりする機会を作ってみてください。
そしてその時は、目を休ませてあげてください。
これが、認知能力の高い選手を育てる秘訣であり、我々一般人の聴覚的思考を育てる
よい機会になるでしょう。
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