石川真佑選手は不安定バランスをアップデートせよ

Newヒロイン誕生

ワールドカップ女子バレーが、昨日で全日程が終了。

世界各国の強豪チームが日本に集結し、しのぎを削った2週間。

お茶の間でも、テレビを通して応援された方も多いと思います。

そして石川真佑選手がコート上で躍動する姿に、大声援を送ったのではないでしょうか。

171cmと決して高くない身長で、190cmに迫るブロッカー相手に打ち込む姿は、バレーファンに限らず、視聴者の心をつかんだことでしょう。

私も何試合かテレビ観戦し、バレー界の方々と会話する中で、独自に石川選手を観察してみました。

特に昨日のオランダ戦で、思いついたことをtwitterでポチポチしていたので、そちらも参考にしていただければ幸いです。

twitterは記憶を呼び起こすのに便利なツールだなと、日々思うところです。


石川選手の最大の特徴は何かと見ていたところ、最高到達点へのスピード。

東レのプロフィールには最高到達点は300cmと記載されてあり、そこに達する速さは、現状の日本人にはあまり見られません。

これには2つの要因が考えられます。


石川選手の特徴とは

①優れた空間認知能力

地球は重力があり、必ず物体は落ちてきます。

バレーボールは、その物体を落としたらダメなスポーツで、不自然極まりない競技といえます。

宇宙空間のような無重力の中では、成立しないスポーツでしょう。

スパイクのように、落ちてくるボールを見ながら、タイミングをとってジャンプするのは、難しい技術です。

空間を把握する能力が欠如しては、脳内で時間と距離がアンバランスになり、適切な踏切をすることが難しくなります。

その結果、空中で自分の思い通りのインパクトポイントにボールを迎えることができず、力強いスパイクを打つことができません。

野球では、外野フライで落下地点を予測する選手が、空間認知が高い選手にあたります。

ボールが「どこに」「どのくらいのスピードで」落ちるのか認知能力が高く、落下地点を予測することができ、処理能力に優れています。

バレーボールでも同様に、セッターのトスの "スピード" と "距離" を予測することで、思い切った踏切ができ、最高到達点へ達するのが速いのです。

空間認知能力が高い選手は、日本の最大の課題であるサーブキャッチの処理能力も高い傾向があります。

その一面を石川選手に感じ、今後はオフェンスよりもディグでの活躍も期待できるのではと思うところです。


②左足が床と設置する時間が短い

2つ目の特徴として、ジャンプをする踏切動作で、膝と股関節が "グッ " と屈曲する動作が、他の選手に比べ、限りなく少ないのです。

スパイクは駆け引きで、相手のブロッカーの位置どりとタイミングを外すことが、得点に直結してきます。

膝と股関節の屈曲が大きいほど、最高到達点へのスピードが遅くなり、相手ブロッカーはタイミングを合わせやすくなります。

これを実現するのには3つの重要なpointがあると考えております。

1.踏切で右足に重心をのせることができる

女子選手は男子選手と比較して筋肉量が少なく、左足に重心をのせると前方に体が流れやすい。また、大腰筋を閉めた状態(両方の股関節が内旋)で、左足に重心をのせて踏み切ると、左膝に負荷がかかり故障につながる。

2.腱の力が強い

高校時代にウエイトトレーニングを積んできて、遅筋群を中心にしてジャンプしていると思っていた。しかし、血筋は争えないのか、腱の力も相当強いことが、今回の大会を見ているといくつかの場面で見られた。今後はより腱のトレーニングを増やすと、相手ブロッカーとしては厄介な選手になると考えられます。

3.踏切動作で、上半身と下半身の筋肉が連鎖している

下半身のエネルギーに頼るのではなく、上半身の筋群と適切に連鎖運動をしてジャンプ動作をおこなう。その証拠として、踏切で上半身が折れず、股関節の屈曲動作がありません。より速く最高到達点は向かうには、上半身を持ち上げる動作は不要になります。


上述の3つのpointをクリアすることで、股関節と膝関節の屈曲が最小限に抑えられます。

踏切動作で左足が床との設置時間が短くなり、いちはやく最高到達点へ達することが実現できるのです。

基礎的な力は非常に高いなと感じます。


日本選手のアップデートに必要な不安定スピード

これからは石川選手に限らず、東京五輪までに日本選手がアップデートしなくてはならない、能力について記していきます。

日本チームが五輪でメダルをとるために、必要な要素の一つになるはずです。


セルビアの選手を見ていて感じたのが、どんなトスに対してもスパイクを打った後に、直立した姿勢に戻します。

空中でカラダを締める "強さ" と "速さ" の両面が備えられており、ミートからボールをもうひと押しする、一役を担っています。

 "空中バランスを兼ねそろえている” の一言では、済まされません。

(昨日のオランダの選手には、それがあまり見られず、日本チームとしては戦いやすかったのではと感じます)

それは何故なのか...。

空中では地に足がついていないため、不安定な状態でボールのミートを向かえます。

その不安定な状態から直立した状態になるスピードが速いと、脊柱の回転方向とスピードに影響を及ぼします。

右利きの選手は、ボールをミートするまで、脊柱を左回転させます。

ミート後に状態を安定した直立に戻すことで、空中で脊柱が右に逆回転し、そのエネルギーがボールのインパクトを強くするのです。

日本人選手は左足一本で着地することが多く、空中で姿勢を崩したまま着地することが多いのです。

つまり脊柱を高速で逆回転することができない。

安定した直立にするスピードが、海外選手と日本人選手に圧倒的な差が見られ、これが世界の第一線で戦うために必要な、条件になるでしょう。

この辺りは東京五輪までにトレーニングの側面から見直せると考えており、対策を練って欲しいなと願っております。

石川選手や古賀選手の段階としては、空中で不安定な状態になれないため、ストレートに強いボールを打つことができません。


▷獲得したい能力の順序

①空中で最大限不安定な状態になれるようにする

②最大限不安定な状態からカラダを直立した状態に戻せるようになる

③直立するスピードを上げる


これらが世界では通常に備えられていて、日本人はまだまだ伸びしろがあるなと感じるワールドカップでした。

石川選手が武器を活かしながら、これから何を身につけて来年を迎えるのか。

東京五輪での活躍を期待しましょう!


▷【ラボ式講座】でジャンプ力UP ⏫

著書ゼロ・グラヴィティ理論もご覧ください^^


#バレーボールワールドカップ #バレーボール #石川真佑 #古賀紗理奈 #ゼロ・グラヴィティ理論 #カラダラボ #ラボ式 #YouTube #石川貴之

”スゴイ先生” 石川貴之 オフィシャルサイト

トップレベルのコンディショニングエキスパートが集うサロン<カラダラボ>の代表。 自身のコンディショニング技術の集大成とも言える、「ゼロ・グラヴィティ理論」で 世の中の間違ったトレーニング方法やカラダづくりを、正そうとしている。

0コメント

  • 1000 / 1000


カラダラボ代表の石川貴之の独自コンディショニング理論が待望の書籍化!

「カラダラボの技術は世界を変えるに違いない」

米ハーバード大学主催のコンテストで”最もユニークなスタートアップ”に選ばれるなど、いま世界で大注目の米国シリコンバレー発医療系スタートアップ【Toi Labs, Inc.】 の創業者であるヴィクラム カシャプ氏も太鼓判を押し、まえがきを寄せる。