身体の重心を母指球に乗せる、その神話は本当にあってるの!?
1.柔軟性の向上だけでは運動パフォーマンスは向上しない
第1回の柔軟性の獲得から1ヵ月が経過し、2回目の訪問の時期が訪れた。
事前のお話ですと、前回の股関節の8つのストレッチを1ヵ月間毎日継続して行った結果、
想像以上の柔軟性を得たようです。
ほぼ全員が立位で前屈すると手の平が床にベッタリつく。
こちらとしても嬉し限りです。
選手からの声を聞くと、下記のような声が聞こえたようです。
・次の日の疲労が軽減した
・腰痛が緩和した
・膝の痛みが緩和した
この3つだけでも取り組む意義ってありますよね。
これが日々積み重なっていくと、股関節のロックが外れ、
椎間板ヘルニア・腰椎分離症・膝内側側副靭帯損傷・前十字靭帯断裂に
つながっていきますから、事前にそのリスクを回避しておくことが実現できているのです。
実際に故障してしまうとオペとリハビリ期間を含め、
半年~9カ月の離脱期間が待ち受けております。
短い学生の部活動人生の中でこの離脱期間はもったいない。
それが、たった1日20分のストレッチで回避できるのです。
そして『最短で身体作りを行う7つの鍵』の1つ目の鍵であり、
1万2千年以前の、身体の動かし方を獲得するための要員の1つになるのです。
しかし、運動は筋肉の伸長と収縮を繰り返す運動ですので、
筋肉を伸ばすだけのストレッチでは故障の予防にしかならず、
運動パフォーマンスの向上にはならない。
したがって、一つの鍵を開けただけでは、
指導者の方が本来選手に求めてる動きは獲得できない。
※key word
・1カ月の継続で手の平が床にベッタリつく
・疲労、腰痛、膝痛が軽減
・柔軟性向上だけでは運動パフォーマンスは向上しない
2.立ち姿勢、人間は重心を何処に乗せるのが正解?
さて東海道新幹線を西に向かってます。
比較的、大殿筋や大腿四頭筋などの遅筋細胞が多く含まれている部位が
発達している選手達。
それを表裏バランスよく鍛えていかなくては、
運動パフォーマンスが向上しないばかりか、故障のリスクも高まってします。
次のテーマは『姿勢』である。
さて講義を始めよう。
「さぁ皆さん、今回のテーマは姿勢です。
では私に背を向けて立ってください。」
全員の立ち姿勢をチェックしながら、重心がどこに乗っているかチェックする。
「はい、ありがとうございます。
全員座ってください」
ホワイトボードに足の裏の絵図を書き①~④を表記。
①かかとの内側
②母指球(足の親指の付け根)
③小指球(足の小指の付け根)
④かかとの外側
「さて問題です。
皆さん、立っているとき①~④の何処に重心を乗せていますか?
もう一度立っていただいて、チェックしてみましょう。
読者の方も是非立ってチェックしてみましょう!
受講者が30人いた場合に割合としては下記が一般的でしょう。
①かかとの内側 5人
②母指球(足の親指の付け根) 23人
③小指球(足の小指の付け根) 1人
④かかとの外側 1人
読者の方は何番でしたか?
「正解は④です」
全員が「エーーーーーッ!!」と驚きの声。
「④に乗っていれば、前脛骨筋・ハムストリング・腸骨筋・脊柱起立筋を中心に
身体を支えることができます。
しかし、一番多い②の母指球に重心を乗せると下腿三頭筋・ヒラメ筋・
大腿四頭筋・大殿筋・腹筋を中心に身体を支えます。
前回の講義で、どちらの筋肉を使うことが大事と伝えましたか?」
口をそろえて前者と答える。
※key word
・母指球に重心を乗せることが多い
・前重心になりすぎている
3.運動パフォーマンスの高い選手は小指球を上手に使う
「その通りです。
例えばゴルフのスイングでトップからインパクトに行く際、
右足の重心は④から③に移行することが必要です。
もし、②に乗っているようであれば重心移動の際に左足に乗り、
スウェーしてしまい打球の方向が定まらない。
インパクトの時はベタ足で行うことが身体の構造上最適です。
韓国の女子プロは皆さんそうしてます。
野球のバッティング動作も同じことが言えます。
テイクバックからインパクトに切り替えると際に、
右足の④から③に移行できるように重心移動を行えると、
大腰筋の収縮がインパクトに伝わり飛距離が延びます。
バレーボールやバスケットボールでよく見るサイドステップも同様に、
左に移動する場合右足の母指球で蹴るのではなく、
右足の小指球で身体を左に押し出しながら股関節を回旋させる。
そうすることでシンスプリントへのリスクは激減します。」
首を縦に振りうなずきながら、全員一生懸命メモを取っている様子。
「では、皆さんシューズを脱いでみましょう。
シューズの靴底どこがすり減っているか確認してみましょう。
②番が一番すり減ってませんか?」
「ヒェーーー!!」という驚きの声が聞こえる。
「今の状態では②の母指球を使いすぎていることが良くわかるでしょう。
ですので、これからは外側に重心を乗せることをイメージして
歩行やトレーニングを行いましょう。」
※key word
・動作は重心をかかとの外からから小指球へ
・シューズのすり減りをチェック
4.簡単に重心を後ろに乗せる方法
「では簡単に重視を④番に持って行く方法をお伝えします。
皆さん、裸足で立ってみてください。
今現在、②に乗っている方が多いです。
全ての足指を地面から離してください。
そうするとかかとの外側に強制的に重心が移動できます。」
全員が感覚をつかんでいるようです。
「では指を地面につけましょう」
アッ!!っと何人かが気が付く。
「はい、その通り。
指を地面につけると前重心になり状態が前かがみになります。
そうすると頭部の位置も前にいき、脳の重みが首・肩・腰に乗ってしまい、
首こり・肩こり・腰痛になってしまうんですね。
脳が入っている頭部の重みを背骨のS字で分担するには、
重心をかかとの外側に乗せなくてはならないのです。
運動の際はかかとの外側から小指球です。
絶対に母指球に重心を乗せて、立ち姿勢をとってはなりませんよ。
※key word
・足の指を上げると、かかとの外側に強制的に重心を乗せることができる
・前重心は首こり・肩こり・腰痛に
・母指球に重心をのせて立ち姿勢はタブー
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